弁護士を目指さなかった理由

受験生時代

司法書士って弁護士になれなかった人達でしょ?というドラスティックな偏見をお持ちの方がたま~にいらっしゃいます。私は司法試験にチャレンジしたことはありません。サラリーマン時代に目指すべき資格を検討した際、弁護士は候補から外れました。理由は以下の通りです。

1.金と時間が掛かりすぎる

私が資格取得を考え始めた頃、法科大学院(いわゆるロースクール)の制度がまさに始まろうとしていました。司法試験の受験にあたり、ロースクール卒業を条件とするというものです。ロースクール卒業の替わりに予備試験に合格するというルートが暫くは残るものの、将来的にはロースクール卒業を必須とする流れに一本化される予定でした。

余談ですが、このロースクール制度は大失敗し、予備試験ルートは未だに残っています。残っているどころかそちらのほうがメインルートになりつつあります。ロースクールを卒業した人より超難関の予備試験を突破した人のほうが優秀な人が多く、新司法試験の合格率が高いのです。しかしそれは今だからできる話であり、当時の私にはいずれなくなる予定の予備試験ルートは選択肢に入りませんでした。

ロースクールは法学部出身なら2年、それ以外なら3年通う必要があります。私は文学部卒なので3年コースです。そもそもロースクールの入試のための勉強も必要です。3年通って卒業後に運よく一発合格できたとしても、その後に司法修習を1年受けて最後の試験(いわゆる二回試験)に合格する必要があります。ここまでどう考えても最短で5年はかかります。ロースクールの学費も数百万円かかります。仕事をしながら通えるほど甘くはなさそうなので、仕事を辞めて無収入になる間の生活費も必要となります。この時点で既に「ないな」って感じですよ

さらにロースクール卒業後、新司法試験へのチャレンジは3回まででした(今は5回になっています)。5年以上かけて、数百万円かけて、三振(3回落ちること)して全て無に帰すリスク、負えるだろうかいや負えない

仮に何とか上記の道程をクリアして新人弁護士になれたとして、即独立する人って聞いたことがありません。弁護士はオールマイティー資格で業務範囲が広いですし、裁判での弁論とか実践経験がないと厳しそうですし、いわゆるイソ弁として弁護士事務所での実務経験をそれなりに積んでからでないと独立開業は難しいのかもしれません。私の目標は当初から「独立開業」でしたから、独立のし易さも重要な判断材料でした。

2.他人の争いごとに首を突っ込む仕事なんて無理!

司法書士になって弁護士さんとも多少お付き合いがあるのですが、改めて思うのは「弁護士さんの仕事って大変だなぁ」ということです。他人の紛争に介入する仕事なので、そのストレスたるや想像に難くありません。たまにそういうのが好きな人もいますが、そういう人にとっては正に天職だと思います。私は真逆で、平和に平穏に生きていたいタイプです。

司法書士も簡易裁判所における訴訟代理権はあるので、たまに紛争事案の相談を受けるのですが、相談者さんも話しているうちに興奮してきて「こいつマジでふざけてるんですよ!そう思いません?」とか言われると正直(ああ、関わり合いたくない…)と思ってしまいます。

法律的な視点からは「その請求は無理じゃない?」と思うような主張をされる方もいて、難しいですよとお伝えするのですが、本人は至って大真面目なので伝え方に気を遣います。

また、相手から恨まれるのはもちろんのこと、依頼者からも恨まれる可能性があります。訴訟はだいたい判決まで行かず和解で決着することが多いのですが、法律家からすると妥当だと思うラインでも依頼者は納得いかないということが往々にしてあります。(そもそも100%自分に正義があると思っている方も多いので。)

司法書士と違って、弁護士さんは自宅開業の方はほとんどいないと思います。恨みを買う仕事なので、自身や家族に危険が及ぶ可能性があるからです。

大変なお仕事なだけあって確かに報酬単価は高いのですが、それでも私は弁護士になりたいとは思いません。

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