簡単に取れる資格にはそれなりの価値しかない

受験生時代

1.乱立する○○士

相続に関する資格だけでも、ちょっと調べると色々見つかります。相続士、相続診断士、相続アドバイザー、相続マイスター、相続カウンセラー etc.

これらは国家資格ではありません。株式会社や一般社団法人等の民間の法人が認定するものです。法人とは法により人と見做される存在です。意地悪な言い方をすると、一般人が個人的に「あなたを○○士と認定します!」と言っているに過ぎないということです。

もちろん国家資格でなくても簿記やFPのように社会的に価値が認められている資格もあります。ですが中には高額な教材を買わせたりセミナーを受けさせることが目的の団体もありますので注意が必要です。(上記に例示した資格がそうだと言っているわけではありません。念のため。)

相続の専門家としては司法書士や弁護士といったしっかりした国家資格が存在します。その資格がなければ行ってはいけない独占業務も存在します。にも関わらず上記のような資格を名乗っているということは、裏を返せばきちんとした国家資格は持っていないということです。意外とこういう人達がテレビで専門家面してコメントしていたり、ネット記事を書いていたりします。

一般の人はそれっぽい肩書を聞くと「専門家なんだ」と誤認してしまうかもしれません。(個人的には、○○士という名称は国家資格以外で使用することを法律で禁止して欲しいのですが…。)ですが本物の専門家からすると素人に毛が生えたようなものです。

こういった資格に目移りすることなく、司法書士という高い山の頂のみを目指して進んで欲しいと思います。

2.行政書士資格は”精神安定剤”?

受験生時代の勉強仲間が、行政書士資格は精神安定剤だ、と言っていました。私も司法書士より先に行政書士資格を取得していたので、何となく意味が理解できました。

受験生の身って辛いですよね。自分はまだ何者でもないわけですから。仕事をしていない専業受験生はなおさらだと思います。

行政書士はちゃんとした国家資格です。なので最悪司法書士試験に受からなかったとしても行政書士として独立開業することは可能です。実際にそれをやるかどうかは問題ではなく、そういう選択肢を持っているということが、司法書士試験勉強の精神的な苦痛を多少なりとも和らげてくれるのです。

上記では他の資格に目移りするなと書きましたし、予備校の講師の中にも司法書士を目指している以上、他の資格には手を出すなと言う方もいます。ですが、私は行政書士に限っては取得してもいいのではないかと思います。勉強するタイミングとしては、本試験の後、合格発表を待つ期間がおすすめです。

行政法や一般常識等、司法書士試験には関係のない科目もありますが、憲法の難度はあまり変わらない印象です。民法や会社法は行政書士試験レベルで躓いていては話になりませんが、だからこそ基礎がしっかり身についているかの確認になります。

また、司法書士に受かっていざ独立開業する時に、行政書士登録もすると仕事の幅が広がるかもしれません。私自身は行政書士資格を全く活かせていないのですが、開業する地域によっては農地転用の許可申請が必要な事案が多かったりして、ダブルライセンスの強みを活かせることもあるようです。

3.資格を取ることが目的なのか、知識を得ることが目的なのか

もちろん両方なのですが、どちらが先に来るか、という話です。

実は私、司法書士以外にも結構いろんな資格を持っています。SE時代に取得した情報処理技術者資格(国家資格です)は、初級システムアドミニストレータ、第2種情報処理技術者、ソフトウェア開発技術者、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャの5つです。また、証券会社のシステムを作る会社だったので、証券外務員1種・2種という資格も持っています。会社員時代には他に簿記3級・2級を取得しましたし、司法書士試験合格後に宅建士、FP3級・2級も取得しました。

別に資格マニアというわけではなく、全て自分のキャリアにおいてその知識が必要だと判断したので取得しました。(会社に無理矢理試験を受けさせられていたというのもありますが…。)「資格を取りたい」よりも「仕事に必要な知識を身につけたい」という目的が先にあり、そのために資格取得というわかりやすい目標があったほうが勉強のモチベーションになったというだけで、極端な話、受からなくても必要な知識が得られればそれで良かったのです。このように知識を得ることが目的であれば、独立開業できるものでなくても、社会的に信用のない民間資格でも勉強していいと思います。

ですが、司法書士は違います。圧倒的に「資格を取ること」が先に来ます。兎にも角にも資格を取らないとその仕事ができないからです。そのためには寄り道することなく、なるべく効率よく勉強すべきです。どうせ受かった後も一生勉強が必要な仕事です。まずは試験をパスし、一刻も早くスタートラインに立ちましょう。

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