司法書士の仕事はAIに取って代わられる?

独立開業のリアル

1.司法書士業務の本質は手続きではなく実体の確認・判断

エストニアでは政府の電子化政策により税理士・会計士が姿を消したと言います。日本においても司法書士が同様の未来を辿ることはあるのでしょうか。

登記の手続きについては、むしろITによってもっと便利になって欲しいと思う部分は多々あります。

法務局に対し、住所を証明するために市役所で住民票の写しを取得して提出したり、所有者の死亡や相続関係を証明するために戸籍謄本を取得して提出したりしますが、よくよく考えるとそれって市役所と法務局がデータ連携すれば済む話であって、我々国民にとって余計な負担ですよね。時間も費用もかかりますし。

技術的には可能だと思うのですが、縦割り行政の弊害とかあるんでしょうか。よく分かりませんが。日本はいつの間にかすっかりIT後進国になっちゃいましたね。何にせよ、手続きはどんどん効率化が進めばよいと思います。

司法書士にとっては、登記という手続きではなく、その前提にある実体の確認・判断こそが肝だと思います。例えば、不動産売買における本人確認、意思確認、契約が法的に有効に成立していることの判断等です。これらの司法書士業務をAIがサポートすることはできても、司法書士そのものに取って代わることまでは(少なくとも現時点では)想像できません。

仮に技術がもっと進歩してAIが司法書士そのものに取って代わる未来が来たとして、問題が生じた時(例えば売主のなりすましを見抜けなかった時)に誰が責任を取るのでしょうか。

特に決済業務においては、司法書士は自ら責任を負うことを担保に不動産売買を成立させているという実態がありますので、責任の所在については明確にすべき課題だと思います。AIがミスったんだからしょうがないじゃん、とはならないですからね。

余談ですが、昔テレビで将棋の名人に勝つAIを取り上げた番組を見たことがあります。AIは自己対戦により常にアップデートしており、もはやどうして勝てているのか生みの親のプログラマーにも分からないのだと言っていました。何だかターミネーターの世界を連想してしまいますね…。

2.何でもネットで調べられるから司法書士なんて不要?

今は何でもネットで調べられる便利な時代です。お客様から、こちらがお伝えした内容について「ネットで調べたら違う情報が出てきたんだけど…」と言われることがあります。

正直ちょっとイラっとする状況ではありますが、よくよく確認すると読み方が浅く、自分に都合よく解釈してしまっている場合がほとんどです。ネットに情報は溢れていますが、その情報を適切に処理するには、やはり土台となる知識・経験が必要なのだと司法書士の価値を再認識し、むしろ安心します。

なお、私自身もネットでよく調べものをしますが、出てきた情報については必ず裏を取ります。根拠を確認するのです。根拠とは法令、判例、通達、学説といったもののことです。お客様や法務局から説明を求められた時に「ネットで調べたらブログに書いてあったんで」と言うわけにはいきませんので。

ちなみに、私は受験生時代は六法なんて引きませんでした。(持ってもいませんでした。)いちいち条文にあたっていては学習効率が悪いので、テキストの記述を信用していました。ですが、実務家となった今ではそういうわけにはいきません。

多種多様な事案に対し、根拠を調べ、それが当該事案にどの程度当てはまるかを判断し、最適な回答を導き出すなんて芸当は、まだまだAIには難しいのでは、という気がします。また、できたとしてもAIの回答を法的素養のない一般の方がきちんと理解できるのかは疑問です。やはり、人間による柔軟なフォローが必要なくなることは想像できません。

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