司法書士で独立して食べていける?

独立開業のリアル

知らんけど、司法書士でやって行けないなら他のどんな仕事でも無理だと思います。
そう言えるほど司法書士には独立・開業に有利な条件が揃っています。

1.仕入れ・在庫がなく、経費も比較的安い

物理的なモノを売る仕事ではないので、仕入れというものが存在しません。売上をあげる前提として先行して支出をする必要がないのです。

「我々士業は知識が商品、本を買って読んで知識を得ることが仕入れだ」という方もいます。確かにね、という考えではありますが、知識はモノと違って傷んだり、売れ残って廃棄しなければならないなんてことはありません。つまり、不良在庫を抱えるリスクがないのです。

また、広い店舗スペースや大掛かりな設備も必要ありません。費用を抑えたければ自宅で開業することもできます。同じ士業である土地家屋調査士は、仕事のために高額な測量機材が必要です。しかもそういった機材は買って終わりではなく破損したり摩耗したりします。司法書士にはそのような必須の高額機材はありません。

2.ニッチな分野の専門家なので競合が少ない

執筆時点で弁護士の数が約42,000人なのに対し、司法書士の数は約23,000人です。弁護士よりもレア職種なのです。それでいて独占業務も持っている。最強では?

他士業と職域が重なる部分もありますが、登記という絶対不可侵の領域を持っていることは大きな強みです。(弁護士も登記業務ができますが、実際にはやる人はほとんどいません。)

都心部では司法書士の数も多く、その分競争は激しいと言えますが、それでも他の職種に比べるとはるかにマシです。

3.試験勉強によって実務能力が身に付いている

司法書士試験の出題内容は、登記を中心に非常に実務的なものとなっています。それゆえ、合格した時点で実務能力が既に十分に身に付いています。例えば、行政書士は業務範囲が広すぎるためか、試験の内容は法律の基礎的な内容を問うものにとどまっており、合格しただけではとても実務を行うことはできません。

試験では学べない業界独特のお作法みたいなものもありますが、試験知識に比べたら全く難しいものではないので司法書士事務所で1年も働けば身に付きます。合格前に司法書士事務所に補助者として勤務していたのなら即独立(ソクドク)も可能です。なお、資格を持っていれば司法書士事務所に就職することは容易です。合格者が少ないため就職事情は売り手市場で、大手事務所では常に求人募集しているような所もあります。

少し話は逸れますが、全く異なる業種から転職した私が思うに、どんな仕事であれ社会人経験は司法書士業務にも必ず役立ちます。コミュニケーション能力、文書作成能力、問題解決能力、いずれも普遍的な能力です。むしろ他の業界を知っていて、法律の世界の常識に捕らわれない感覚を持っていることは、事務所を経営していく上でアドバンテージになると思います。

4.試験が超難しいので参入障壁が高い

結局、これが一番なのではと思います。受験生時代にあなたを阻み続けてきた高い高い壁が、合格後はあなたを守ってくれるのです。

数が少なく、新規参入も少ないので、司法過疎の田舎なら多少人格に問題があろうとやって行けると思います。絶対数が少ないと、意外と「まともな人間である」ということがアドバンテージになります。社内外見渡すとあなたの周りにもいませんか。「会社の看板がなければ誰がお前なんかと仕事するかバーk(略)」って人。挨拶をする、笑顔で接する、身だしなみをきちんとする、敬意を払う、いずれも当たり前で難しいことではないですよね。

自分、コミュ障なんだけど…という方、私もです。道で知り合いが前を歩いているのを見つけたら追い付かないようにゆっくり歩くような人間です。でも、コミュ障の人間って意外と外ヅラはいいんですよね。それでいいんです。仕事は外ヅラでやるものです。仮に根がどんなに腐っていたとしても関係ないですよね。その部分がお客様に触れることはないんですから。

以上が、私が司法書士が独立開業しやすく、かつ続けて行きやすいと思う理由です。実際、開業してもやって行けなくて看板を下ろしたという人はほとんど知りません(ゼロではないですが…)。最悪、勤務に戻ることもできますし、過度な心配はせずにチャレンジしてみるべきです。

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