2つ目に勤務した司法書士事務所(1年4ヶ月)

独立開業のリアル

1.同期合格者からの勧誘

1つ目の事務所を辞める決意をした段階では、次の事務所はまだ決まっていませんでした。今にして思えばこの段階で独立開業しても良かったのですが、当時は決済以外の業務経験が不足しているのでまだ早いと考えていました。

私が事務所を辞めようとしていることをどこからか聞きつけた同期合格者から連絡があり勧誘されました。その人が勤務している事務所に欠員が出るので後任を探しているとのことでした。なお、その欠員というのも同期合格者で、地元に帰って独立開業するとのことでした。

その事務所は資格者6人(所長と私を含む)、補助者5人でした。資格者のほうが多い事務所というのは珍しいと思います。更に珍しいことに、営業専門の要員が2人いました。営業に同行させてもらったことは他の事務所ではできない貴重な経験でした。

これから拡大していく方針の事務所で、私の在籍中に資格者、補助者とも徐々に増えて行きました。後から別の同期合格者も入ってきて、気の合う仲間達と楽しく仕事ができました。当時はまだ個人事務所でしたが、現在は法人化しています。

2.2つ目の事務所の仕事内容

最初は決済が中心でした。決済以外の業務を経験したいという希望には沿わないものでしたが、前の事務所とのやり方の違いを知ることは、それはそれで勉強になりました。仕事をもらうルートも不動産デベロッパーだけでなく金融機関、仲介業者と様々だったので業界構造の理解も深まりました。

決済の数は前の事務所ほど多くはなかったので事務所の中で作業できる時間も長く、その間、決済以外の不動産登記や商業登記、訴訟など幅広い業務を経験することができました。前の事務所ではルーチンワークをこなすだけで1日が終わってしまっていましたが、この事務所は基本どんな仕事でも受ける方針だったので定型業務に限られず、じっくり時間をかけて書籍等で色々調べる癖がついたのは良かったと思います。時には同期と話し合いながら難しい問題を考える時間はとても有意義であり楽しくもありました。

半年くらい経った後、希望を聞いてもらって相続業務の担当にしてもらいました。登記だけでなく、遺言書作成や遺産整理業務(預貯金解約、有価証券売却等)も経験できました。ものすごい量の戸籍を読み込んだ経験などは大きな財産になりました。

3.独立開業を決意

未経験の業務であっても自分で調べて対応する力がついてきて、そろそろ独立開業したいという気持ちが強くなってきました。最初の頃は一通りの司法書士業務を経験してからと考えていましたが、比較的ニッチな分野の専門家とはいえ意外とその業務範囲は広く、また各分野の奥深さはたかだか数年で極められるものではないと悟りました。

むしろ独立した後の心配事は、仕事ができるかどうかではなく仕事を取ってこれるかどうかになっていました。こればかりは何年勤務してもどうにかなる話ではないので、とりあえず独立してやってみるしかないと思い至りました。壁にぶつかるなら早いほうがいいし、やり直しや方向修正もしやすいだろうと考えました。

ちょうどその頃、会社員時代の同僚である友人が中古で家を買い、1階が賃貸用の部屋になっているので借りる気はないかと打診されました。最初はいやいや何を言って…と思ったのですが、場所をよく調べてみると法務局が最寄りにあったり、人口が増加していたり、気候が温暖だったり、と「意外とアリじゃね…?」と思い始めました。家賃も相場より安くしてもらえるし、2階の一室を事務所として使っていいとのことだったので、これも縁だと思ってそこで独立開業することを決意しました。

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