1.司法書士を辞めてしまう人もいる
同期合格者の中にも、司法書士登録を抹消してしまった人が何人かいます。ある同期は実際司法書士業務をやってみたら自分には向いていなかった、と言っていました。
せっかく苦労して難関資格に合格したのにもったいないなと思いますが、皆若い人で、大学(法学部)卒業後、就職せずに勉強を続けて合格した人です。そういう人達は司法書士以外の仕事を知らないので、他の世界を知っていみたいという気持ちは分からなくもありません。資格さえあればいつでも戻って来れますし。
若いのに一所懸命勉強して資格を取るのは偉いと思いますが、新卒は未経験でも就職できる人生唯一のタイミングなので、その機を逃さず就職するほうがいいと思います。仕事をしながらでも勉強はできますし、20代の頃の社会人経験はどんなものであれ後の司法書士人生でも役に立ちます。
また、社会人経験を通じて自分の向き不向きも客観的に分かってきますし、それを踏まえた上で自分が司法書士に向いているのか否かを改めて考えてみるといいかもしれません。合格するまでに人生の少なくない時間を費やすことになる訳ですから。
2.大儲けしたい人には向かない
ビジネスの才覚を活かして大儲けしてやるぜ!という人にはおすすめしません。規制が多いのです。品位のない広告は禁じられていますし、紹介料、キックバック、お得意様値引き、司法書士ではない者との提携等も禁じられています。
逆に言うとそれらの規制に守られているということでもあるので、ビジネスセンスがなくてもある程度やっていけます。
組織の中で人間関係のストレスに晒されながら働くのは嫌だけど、独立して己の才覚で身を立てていく自信はないなぁ、という(まさに会社員時代の私のような)人にはおすすめです。
なお、昔は景気が良かったようで、勤務していた事務所の所長(司法書士歴30年超)は別荘やクルーザーを持っていました。今でも儲けている司法書士はいると思いますが、色々うるさい司法書士の規制の中で大儲けする才覚があるなら別のビジネスでもっと大成功できるのでは…と思ってしまいます。
3.細かい性格の人が向いている
司法書士は非常に細かい仕事です。1文字もミスが許されません。
私は元システムエンジニアですが、性格は細かい方だと思います。プログラムも1文字違っても正常に動作しません。それによるシステムの誤動作が大トラブルにつながる可能性もあるので司法書士よりも神経を使うかも知れません。
会社員時代に色んな同僚を見て思うのは、細かい作業に絶望的に向いていない人はいるということです。生まれ持っての性格というか適正というか、何度言っても直るものではないのだと思います。
なお、そういった細かい点は人を雇って任せるという解決方法もあるので、司法書士としてやっていけないわけではありません。むしろ大儲けする人は細かいことは人に任せて自分は大雑把、という人が多い気がします。
4.向き不向きを判断する1つの目安
補助者として司法書士事務所に勤務しているならば、「実務で遭遇した珍しい登記事項を見てテンション上がるかどうか」は向き不向きを判断する1つの目安になると思います。
勤務時代、珍しい登記事項を見つけては同期の同僚と見せ合ってはしゃいでいました。
一方で、司法書士を目指している補助者は興味なさそうなのが気になっていました。登記事項に限らず、目新しいことや未経験の業務について消極的なのです。これでは仮に受かって司法書士になったとしても楽しく仕事できないんじゃないか?と思っていました。
結局その人は合格することなく事務所を去って行きましたが、その人にとっては別の道に進むほうが良かったのではないかと思っています。
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