私の司法書士事務所の大方針

独立開業のリアル

1.稼ぐよりもストレスのない人生を送ることを重視

私の会社員時代は、それはもうストレスに満ち溢れていました。けっこう大きな会社だったのですが、組織内だけの異常な世界とそれに疑問を持たない人々に気持ち悪さを感じていました。自分自身もいつの間にか毒されている自覚があり、この世界(ストレス)から抜け出したいと強く思うようになっていました。

満員電車で通勤しないことも重要でした。会社員時代は毎朝電車の中で押し潰されそうになりながら通勤していました。異常ですよね。今は1階が居室、2階が事務所なので通勤は徒歩15秒です。たまにニュースで台風や大雪により駅が人でごった返しているのを見ながら「ああ俺はこういうのから解放されたんだ」と思ってニヤニヤしています。

また、目覚まし時計に起こされない生活を送りたいとも思っていました。これを言うと冗談だと思われることも多いのですが、大真面目です。脳と体がまだ睡眠を必要としているのに決まった時間に機械に起こされるなんて異常だと思いませんか睡眠負債なんて言葉もありますし、健康に関わる重要な問題だと思います。たまに寝坊してお客さんからの電話で起きることがあります(電話は2階の事務所に親機、1階の居室に子機があります)。そんな時は寝起きを悟られないようにキリッとした声で電話に出ます。

正直、会社員時代の年収はサラリーマン平均よりもだいぶよかったのですが、自分にとってはそんなことよりもストレスフリーの人生を手に入れることのほうがずっと重要でした。

2.人は雇わない

将来的に仕事が増えたとしても、人は雇わず一人事務所を貫こうと思っています。もし一人で捌き切れなくなったなら、仕事のほうを減らすつもりです(ストレスの高い仕事や収益性の低い仕事を)。

人を雇わない理由は、まずは何といっても人間関係のストレスです。雇った人が例えどんなに優秀だったとしても、自分とは違う人間である以上考えや感覚のズレは当然ありますし、ストレスが全く生じないなんてことはあり得ません。そもそもストレスって9割方人間関係から生じるものではと思っています。

また、売上に関わらず毎月固定の人件費が生じるというのも大きなリスクです。売上が少ない時には受けたくない仕事も受けざるを得なくなるかもしれません。もしかしたら法的・倫理的に問題のある案件を売上欲しさに引き受けてしまうこともないとは言い切れません。

勤務していた事務所からの印象ですが、仮に人を雇って事務所の規模を拡大して売上を増やしても、それに伴って経費や税金も大きくなるので自分の手取りは大して変わらない気がします。変わらないというか、大変になった分に見合わないというほうが正確かも知れません。2倍忙しくなっても実質懐に残る儲けは1.5倍(ざっくりした感覚です)、それなら時間に余裕を持って趣味や興味のあることの勉強に充てたいという考えです。

ちなみに私は歴史や宇宙などにずっと興味があったのですが、会社員時代や受験生時代は仕事・試験に関係ないことを勉強する余裕がありませんでした。今は会社員時代より収入は減りましたが、人生が充実していると感じています。

3.イヤな仕事は極力しない

開業当初から相続分野を中心にやっていくことは決めていました。人口減少により経済規模が縮小していく中、唯一と言っていい程これから需要の拡大が見込まれる分野だからです。

一方で、勤務時代の経験等から、やりたくないと思った仕事はなるべくやらない方針です。もちろん生活があるので、相続業務の売上如何によってはまだマシと思うものから手を出そうと思っています。

以下、個人的にイヤだと思っている仕事を列挙します。多いなオイ!と自分でも思いますが、今の所は幸いにしてこれらの仕事にはほぼ手を出さずにやって行けています。

3-1.不動産屋イヤ

不動産屋から仕事をいただく立場になると、どうしても上下関係が生じてしまいます。某大手仲介業者は、報酬表を勝手に決めて押し付けてきます(しかも安い)。

本来、司法書士は中立の立場から売主・買主双方を代理する仕事ですが、実際は仕事をくれる不動産屋寄りになってしまうのはある意味当然です。倫理違反ですが、キックバックを支払っている事務所の噂も未だに聞きます。

現状、業界構造に大きな問題があると思っているので、不動産屋とは直接繋がりを持ちたくないと考えています。(もちろん、不動産屋と対等で良好な関係を築いている事務所もありますが。)知り合いから不動産屋の社長を紹介してあげると言われ、断ったことがありますそのことを友人に話すと「あり得ない」と呆れられました。

3-2.銀行イヤ

銀行はタダでは仕事をくれないイメージですね。預金口座を開設するくらいなら全然いいんですが、投資信託を買わされる、カードローンを組まされるといった話もよく聞きます。

また、決済では銀行指定の司法書士と同席することがあるのですが、某事務所が銀行員にアゴで使われている様子を見て「あーあ、せっかく司法書士になったのに…」と思ったことがあります。(もちろん全ての銀行指定事務所がこうだというわけではありません。)

3-3.訴訟イヤ

他人の紛争に首を突っ込むなんて、これ以上のストレスはないですよね。
弁護士を目指さなかった理由』もご参照ください。

3-4.後見イヤ

現在1件受任しているのですが、それで精一杯です。時に人の生死に関わる判断を迫られることもある、責任の重い仕事です。司法書士試験に出題される法律の知識だけでは不十分ですし、法律以外の様々な知識も要求されます(医療、年金、保険、各種公的扶助、施設の種類、宗教 etc.)。その割に報酬は安価です。

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