1.客を選べる
独立開業して一番良いことかもしれないのは、お客さんを含め付き合う人間を自分で選べることです。会社員時代や勤務時代はこうはいきません。どんなに嫌な奴でも自分の裁量で関係を断つことはできません。それによって生じる損失に対し、責任を取れる立場ではなかったからです。
今は違います。もちろんちょっと気に入らないからといってすぐ仕事を断っていては食べていけませんが、限度を超えた態度の客は自分の判断のみでお断りできます。
幸いにして、独立開業以来そのような客に遭遇したことはありません。これは付き合う人間を選んでいるからだと思います。類は友を呼ぶというように、良い(自分と合う)人の周りには良い人が集まり、嫌な奴の周りには嫌な奴が集まると思っています。
以下、勤務時代に遭遇した嫌な客をご紹介します。
2.横柄な客
勤務時代、奥さんが亡くなったとのことで相続の相談に来た客がいました。事務員によると、最初に電話で話した時から態度が悪かったそうです。
話を聞いている中で相続税を気にする発言があったので「よろしければ税理士さんをご紹介しましょうか」と言ったら突然怒り出しました。融通が利かない、アンタの知っている範囲の事を教えてくれればいいんだ、そんな気の利かない事務所とは付き合っていく気になれない、と。
(こちらがいつ、あなたと付き合っていきたいと言ったのだろう?)と思いつつも、ここは自分の事務所ではなく所長の築き上げた事務所なので我慢しました。
確かに多少の税金の知識は持っています(FP2級保持者です)し、具体的な税務相談に乗ることは税理士法違反であるとしても、一般的な税金の知識を教えることはできたのですが、もちろん教えませんでした。
百歩譲って資産をたくさん持っている大地主とかなら分からなくもないですが、主な資産は奥さんから相続したマンションの1室(しかもそんなに広くない)くらい。それでよくそれでそんな不遜な態度を取れるものだと思いました。
私は実年齢より若く見られてナメられがちではあるのですが、アンタいくつなんだ、なんて発言もありましたね。
独立した今なら間違いなく追い返しています。
3.値切る客
決済事務所に勤務していた時のお客さんで、夫婦でマイホームを購入される方がいました。奥さんが何でもかんでも値切ることに喜びを感じる人で、司法書士報酬ももちろん値切ってきました。旦那さんのほうは「そんなに色々値切って大丈夫?サービス低下しない?セコムが駆けつけるのとか遅くならない?」と心配していましたが、その心配は正しいです。(セコムはどうか知りませんが…)値切る客と値切らない客、どちらにより良いサービスを提供したいと思うか。考えるまでもありませんね。
先の横柄な客についても同じことが言えますが、プラスアルファのサービスをしてあげたいと思うかどうかは客によるんですよね。こちらも人間なので。たまに、いいから黙ってこちらの言う通りにやってくれればいいんだよ、というお客さんがいますが、そういう人にはお望み通り言われた通りにやります。例え他にもっと良い方法を知っていたとしてもです。結局損してるんですよね。
何となくお得な気分になって喜んでいるだけで、司法書士報酬の相場なんて分かっていないはずなので、例えば正規料金より3万円高く見積を出して1万円値引いても満足したのだろうな、と思うとその人のことがとても愚かに思えてきます。
4.横柄な税理士
勤務時代の先輩で、今は独立している司法書士の話です。付き合っている税理士が横柄だそうで、良かれと思って提案をしたら「私が間違っているというのか」と臍を曲げり、気に入らないことがあると「そちらがそんな態度なら他の事務所に乗り換えてもいいんだぞ」と言ってきたりするそうです。
仮に思っていたとしても普通は口に出さないものですけどね。士業はお互い専門分野が違うので持ちつ持たれつです。私がお付き合いしている税理士さんは絶対にこんなことは言いません。(言わないだけで思っていたらどうしよう…。最近仕事もらってばかりで全然お返しできていないし…。)
その先輩はその都度税理士の機嫌を取って付き合いを続けているそうですが、私だったら売上よりもストレスフリーを優先するので関係を切ります。
5.横柄な信託銀行
勤務時代に付き合いのあった信託銀行も酷かったですね。司法書士を完全に下請けとしか見ていませんでした。
相続発生時には登記案件を回すから、という条件で遺言書作成のための戸籍集めをタダ同然で要求してきます。しかも常に至急扱い。銀行の独自ルールに則るように色々要求してきて面倒ですし、きちんと対応してもお礼の一言もなし。一方で不手際があれば激しく詰められます。
それでいて、「相続発生時には登記案件を回す」という約束は果たされる保証はありません。実際、信託銀行の担当者によっては他の事務所に流れてしまうということが度々ありました。登記案件で元を取るつもりだったこちらはほぼタダ働きだったということになります。
私が勤務していたのはその地域で1、2を争う規模の事務所だったのですが、ライバル事務所がその信託銀行に切られたという話を聞きつけてチャンスと見て入り込みました。でも実はライバル事務所が自ら切られるように仕向けたのだという話をその事務所に勤務している司法書士から後になって聞きました。要するに、信託銀行のほうが切られていたのです。
コメント