司法書士報酬は前払い?後払い?分割払い?

独立開業のリアル

1.支払いのパターン

勤務時代に登記申請後(登記完了前)に請求書を送ったら、怒って事務所にクレームの電話を入れてきたお客さんがいました。まだ仕事を完了させていないのに代金を請求するとは何事だ!と思ったのでしょう。そんな事もあるので、報酬の支払い時期については事前にきちんと合意しておくべきです。

前払い、後払い、あるいは実費(主に登録免許税)は前払いで報酬は後払いとする分割払い等、色々なパターンが考えられます。

司法書士にとって最もリスクが低い方法はもちろん前払いでいただく事です。特に登録免許税が高額になるケースでは、立替は極力避けるべきでしょう。

なお、業務の種類によっては、迷う必要がない場合もあります。

決済ではその場で報酬・実費とも全額現金でいただくことが多いです。昔は決済後にその足で法務局窓口へ登記申請に行くことが多く、その際に印紙売り場で登録免許税分の印紙を現金で購入する必要があったため、決済の場で報酬もろとも現金でいただくのが都合が良かったのです。今はオンライン申請なので振込でも全然構わないのですが、昔の名残で今でも現金が多いですね。

また、遺産整理業務で預貯金解約や有価証券売却を代行する場合は、解約金や売却代金を一時的に司法書士の預り口口座に集約し、そこから報酬を差し引いてお客様へ送金します。このやり方だと取りっぱぐれのリスクがありません。

2.当事務所のやり方

私の事務所では、基本は後払いにしています

登記申請後(登記完了前)に請求書を送り、「お支払いは登記完了後で結構ですが、書類の送付は入金確認後となりますので、お急ぎであれば事前にお振込みください。」と伝えています。

登録免許税を立て替えはするけれども、支払いがあるまでは登記識別情報を人質に取りますよ、という作戦です。

実際問題、他人の登記識別情報を留保していてもどうしようもないのですが、たいてい皆さん登記完了前に振り込んでくれます。このやり方だと登記完了後に請求書を送付する時間や入金待ちの時間を短縮できます。

あと、先に報酬を受け取ってしまうと何となくプレッシャーを感じるというのもあります。もちろんまだ報酬を受け取っていなくても受任した仕事は責任を持って遂行しますが、どうしても「もう報酬貰っちゃってるから急いで対応しないと!」と勝手に急かされているような気持ちになってしまい落ち着きません。全て終わった後のほうが堂々と報酬を請求できますし気持ち的に楽です。

もちろん立替金が高額になる場合は前払いにしてもらったり、実費のみ先に払ってもらう等、事案に応じて柔軟に判断します。

3.人を見て判断する

きちんと支払いをしてくれそうな人かどうかは、会って話せば大体分かります。相続案件の場合、ほとんど「大丈夫そうだな」と思うお客さんばかりです。実際その予想が外れたことはありません。

実際に遅滞があったのは、最初から分割払いにしてくれと言ってきたお客さんです。もちろん嫌でしたけど懐事情が苦しいとのことで渋々了承しました。

案の定、期日になっても振込がないので「本日中に振り込んでください。」と冷たいメールを送りました。

お金を払わない人は客ではないので、遠慮する必要はありません。幸いすぐに振り込んでくれたのでトラブルに発展することはありませんでしたが。

4.振込手数料を差し引いて振り込まれる場合も…

過去に1度だけですが、振込手数料を差し引いて(つまり当方に負担させて)振り込んできたお客さんがいました。

こっちは客なんだから振込手数料はそちらが負担するのが当然だろ、という意識なのでしょうか。理解できません。

たかが数百円で揉めるのも得策ではないかも知れませんが、泣き寝入りも癪なので2度ほど催促して振込手数料分を追加で振り込んでもらいました。トラブルにはなりませんでしたが、先方もいい気持ちはしなかったでしょう。(こちらもですが。)

それ以降、請求書には「振込手数料はお客様負担でお願い致します。」と記載するようになりました

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