まず大前提として、解き方や解く順番といったテクニックを追求するのはある程度実力を身につけた後にすべきです。最低20年分の過去問を最低20回、しかもただ解くだけでなく肢ごとに丁寧に検証して理解してからです。以下の記事はそれを踏まえた上で読んでください。
1.問題の解き方
司法書士試験は時間内に解き切ることが非常に難しい試験です。午前は120分で35問なので1問あたりにかけられる時間は3~4分です。午後は記述問題と合わせて180分なので択一問題にかけられる時間は午前よりも更に少なくなります。仮に70分で択一問題を解くことを目標とした場合、1問あたりにかけられる時間はたった2分です。
択一問題は「正しい肢(あるいは間違っている肢)の”組み合わせ”を選べ」という形式が大半です。仮に、正しい肢の組み合わせを選べという問題で、選択肢が
1アウ 2アオ 3イエ 4ウエ 5ウオ だったとしましょう。
解き方の流れ(例)は以下の通りです。
1.アを読む。→「正しい」と判断する。
2.選択肢を見てアと組み合わされている肢がウとオであることを確認する。
3.ウを読む(イは読まずに飛ばす!)。→「誤り」と判断する。
4.2アオが正解と判断し、次の問題へ進む。(オは読まない!)
イメージつきますでしょうか?この方法でサクサク解いていかないと時間内に解き切ることはまず無理です。一応全肢読んでから判断したいですよね。わかります。でもそれじゃ間に合わないんです。全肢読みたい理由は、この肢は絶対に正しい(あるいは間違っている)と自信を持って判断できないからですよね。厳しいことを言いますが、試験会場で「あーこれどうだったかな?」と迷っている時点で勉強が足りていない(つまり合格レベルにない)ということです。
なお、選択肢の中には「わからなくてよい」肢も含まれています。それを見極める能力も必要です。上記の例でアが「わからなくてよい」肢だったとすると、正誤を判断せずすぐに飛ばしてイを読みます。つまり、「正しい」「誤り」「わからなくてよい」の3種類のうちのどれなのか瞬時に判断する能力が必要ということです。どの問題が「わからなくてよい」かなんて判断しようがないよ、と思われるかもしれませんが、過去問や答練をやり込んで合格レベルに到達するとできるようになります。つまり、死ぬほど勉強したのに「一度も聞いたことない」という肢は、わからなくてよい肢です。
2.問題を解く順番
これに関しては人それぞれです。同期合格者に話を聞いても各々やり方が違いました。特に午後は択一と不動産登記法記述、商業登記法記述をまとめて180分で解く必要があるため個性が出ます。前から順に解く人もいれば商業登記法記述から取り掛かるという人もいます。模試で色んな解き方を試してみて、自分にとってベストな順番を探すしかありません。
ただし、午前問題は頭(つまり憲法)から解くな!というのはよく聞きますし、私もそう思います。憲法1問目は難問が来ることが多い印象です。最初の問題で「カマして」動揺を誘う作戦ではないかと割と本気で勘繰っています。私は民法から解き始める派だったのですが、民法の1問目も難問が多い気がして、「自分のような民法から派にもカマす作戦だな、その手には乗らんぞ!」と思っていました。虚構の敵と戦っていた気がしないでもないですが。
午後に関しては順番はともかく時間配分は決めておいたほうがいいと思います。不動産登記法、商業登記法とも記述は書く分量が異常です。できれば各60分は確保したいところです。そうすると必然的に択一は60分以内で解かなければならないことになりますが、これはこれでキツイです。私は択一に70~80分、記述に50~55分ずつ、という時間配分を目標にしていました。順番は素直に前から択一→不動産登記法記述→商業登記法記述 でした。
あと、決めておいたほうがいいのは「どのタイミングでマークシートを塗りつぶすか」です。1問ずつ塗る人もいると思いますが、10問とか20問解いた後にまとめて塗る派もいます。私もある程度まとめて塗る派でした。ある時模試で最後にまとめて全部塗る作戦を試したところ、最後のほうは記述の答案を書くことに必死になってしまい、試験終了後、答案用紙を回収される段階で一切マークしていないことに気づき、午後択一0点を叩き出したことがあります。もしこれを本試験でやらかしていたら死んでも死にきれないとゾッとしました。なので、この方法はお勧めしません。
余談ですが、普通のシャーペンはマークしづらいので芯の太い特殊なシャーペンを使っていました。私の周りには、鉛筆を複数用意して芯がすり減ってきたら(削らず)新しい鉛筆に次々と持ち替える派の人もいました
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