司法書士は懲戒が厳しい!

独立開業のリアル

1.毎月数名は懲戒処分を受ける

司法書士は他士業と比べても懲戒の基準が厳しいと思います

司法書士になると「月報司法書士」という会員向けの機関紙が毎月送られてきますが、その一番後ろに懲戒事例が記載されています。たいてい毎月数名は懲戒処分を受けています。たまに懲戒事例がないと「あれ、今月懲戒ないね」と話題になるくらいです。

私は行政書士登録もしているので行政書士の機関紙も届くのですが、やはり懲戒の数は司法書士よりもずっと少ないです。全体の数でも行政書士は司法書士の倍以上いるはずなんですけどね。

2.一生名前が残る?

司法書士の懲戒には以下の3種類があります。

  • 戒告
  • 2年以内の業務の停止
  • 業務の禁止

一番軽い「戒告」であっても実名が記載されます。官報にも掲載されます。(なお、「注意勧告」というのもありますがこれは懲戒処分ではありません。月報司法書士には記載されますが、名前は伏せられます。)

官報から得た情報をネットに晒す人がいると聞いたことがあります。下手をすると一度懲戒を受けるとネット上に永遠に名前が残り続けることになります。

以前、知っている司法書士が補助者決済で懲戒されていました。(決済立会いは司法書士にしか許されていません。)つまらない事で一生汚名を背負うことになった訳で、「あーあ、ヘルプ頼んでくれりゃよかったのに」と思ったものです。

3.不当誘致を取り締まって!

業務の停止や業務の禁止になっている事例を読むと「そりゃ懲戒受けるわ」という内容がほとんどです。ですが戒告はたまに「そんなことで懲戒!?」と驚くような内容があります。

なので、懲戒事例を読むときはむしろ戒告の事例を注意して読みます。ただし、実際の所は、文章だけからでは読み取れない裏の事情(懲戒されても仕方ないような事情)があるようです。

個人的には、業界に横行している不当誘致(業者へのキックバック、特別価格等)が全く取り締まられず黙認されている現状を憂いています。新人研修等で倫理倫理とあれだけうるさく言われるのに。しっかり取り締まって業界構造を是正して欲しいと心から願います。
※『不動産屋と付き合わない理由』参照

4.最近懲戒の件数が減った?

令和2年の司法書士法改正により、懲戒権者が法務大臣に変わりました。(それまでは各地域の法務局長でした。)その影響なのか分かりませんが、最近懲戒の数が減っている気がします。

実際に調査をするのは各司法書士会であることは変わっていないはずですが、今までより全国統一的な基準で懲戒処分を下す必要があるので慎重になっているのかもしれません。単に手続きが変わって一時的に手間取っているだけかもしれませんが。

不平等で行き過ぎた懲戒処分は司法書士を萎縮させてしまいます。懲戒を恐れるあまり業務に消極的になりすぎて国民(お客さん)の抱える問題の解決に寄与できないのでは本末転倒です

取り締まるべきはきちんと取り締まり、一方で無用な萎縮効果を生むことがないよう、懲戒手続きを適正に運用し、業界の健全化を図って欲しいものです。

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